冬の季節、名古屋から石川県の小松市に帰省するとき(あの頃は、名古屋発、急行 『兼六』やった)
名古屋は快晴で、冬の感覚が薄かった。
列車が北陸トンネルを抜けると‥
別世界が現れた!
青空だったけど、あたり一面が真っ白!
純白の世界があらわれた。
よく「銀世界」と表現されるけど
この場合は真っ白。
例えるなら、上質の砂糖をまぶした山裾、純白の真綿で覆われた木々と言ったところ。
まだまだ山の中といった所なんだけど、白一色で それは綺麗でした。
名画の中にとびこんだ感覚です。
「ほぉー!!」
とか
「うぉおー!!」
と言った、感嘆の声が 自然に列車内でおきます。
私も見なれた雪景色であるはずなのに、思わず
「ぅわー‥、すごー‥」と半分空気の漏れたような声を出さずにいられませんでした。
「トンネルをすぎると、そこは雪国だった」駒子ならいいんだけど、将棋の駒のような顔をした女性が、つぶやいています。
あまりの景色の美しさにひたっていたのに‥
さらに、隣に座っていた男性が声をかけてきたんです。
「雪景色はきれいに見えるでしょう?」とか
「観光ですか?金沢の兼六園の雪景色でも見に?」と、言ったような事を話しかけてきたと思うんだけど
なにしろ他の乗客と同じで雪景色に見とれていたものですから‥
「あ、はい‥」と言ったような、いいかげんな返事をしたような記憶があります。
それがぁあ、いけなかった!隣に座っていたとはいえ、見知らぬ人なので話かけることもなかったのが
これを機会に、なーんと延々と雪国についての講義が始まったのです。
見れば、少し年上の青年でした。
(わたしも青年でした)
「名古屋の人たちは、雪景色を単にきれいだと思ってるかもしれんけど‥」で講義の開始。
『おお、懐かしい!石川県の方言!!』でも手遅れでした。
すっかり名古屋の青年にされた私は、今さら小松の人間ですとは言えない雰囲気になっていたのです。
雪の大変な事や、怖さ、諸々の雪の被害など
『嫌というほど知ってます』事を延々と一生懸命話し始めたのです。
ほんとは石川県の方言でしゃべりたかったのに
「どえりゃあ、大変なんだわ」と無理矢理 名古屋弁を混ぜて相づちを打つハメとなったのです。
しかも、この方は金沢の人だから金沢まで行く‥
私は、金沢の兼六園へ観光目的だから、このままだと金沢駅まで行かなければならない‥
ホントは実家の小松駅で降りなければならないのに‥
『弱った‥』しかもこの人、どうも ほおっておくと、兼六園まで案内しそうな雰囲気‥
『ひじょーに弱った』