やくざ屋さんに殺される!
2006年 08月 20日
おれと金さんが見に行く。
で、ごひろう目‥って、
「土田さん、いつ免許とったん?む、むめんきょ?!」
「あほな。ちゃーんと持っとるがな、日本国やで」
「そやけど、土田さん身障者で足わるいやろ‥」
「あー、それは、身障者にたいするへんけんやで。いかんわ」
「えー。じゃあ、ひょっとして‥」
松葉杖でアクセルとブレーキを操作して‥
「あほか!松葉杖でアクセル押すんか!ブレーキふむんか!ハンドルはどないすんねん!」
「なーんだ、アクセルとブレーキは横のレバーとグリップを握ってやるのか」
金さんは乗り込んでさわっている。
「それにな、ハンドルも片手でまわせるように、ほら‥」
フォークリフトと同じ、ハンドルに握りがついて、くるくると‥
おれも金さんも感心しきり。
「いいなぁ。この車らくそうで」
「うーん。足をくんで、運転できて、らくちんだろなぁ」
俺たちは、うらやましそーに車を見ていた。
「らくやでー」
土田さんの声におもわず
「ええなー。こんな車らくで、ええなー」
俺が言うと、土田さんは
「あんたら、ほんまエエひとやなー。」
(ちなみにここは、名古屋のどまんなかでの会話。
土田さんは大阪、おれは石川。金さんは岐阜。)
土田さんのほうが金さんや奈良よりずっと運転がうまい。
ただ、駐車場がたいへんで、降りるときはドアを目一杯開かねばならず
いまでも身障者用は占領されていて、普通の駐車場では狭すぎて降りられず
なんぎしていると言っていた。
よくじつ、
会社でおれの大得意先の四日市のアサノインテリアさんから
電話があったのは帰ろうとした夕方だった。
「山田くんか!なんとかしてくれ!殺される!」
いつもの陽気な声と違って、せっぱ詰まった声。
「どうしたんですか?」
「やくざ屋さんの、組長の家の特別注文のじゅうたんを
発注するのわすれてたぁ!」
「げぇ!」
「色も特別色。寸法も別注。普通、一ヶ月近くかかるヤツ!」
「げぇ!げぇ!」
「聞いたのは一ヶ月前。で納期はあしたの昼なんだわ!」
「げぇ!げぇ!げぇ!」
「ペストルもってた。なんとかしてぇ!殺される!」
「なんまんだぶ。そうしきには、きっと行きますから!」
(つづく)
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