月光仮面
2007年 06月 20日
ぼくたちの、ヒーローはなんと言っても月光仮面でした。
月光仮面は正義の味方です。
テレビでは月光仮面しかなかった時代です。
そのテレビも白黒で どこの家でもまだ持っていません。
お風呂屋さんの、2階が休けい室になっていて、そこにテレビがありました。
ぼくたちは、月光仮面を見たさにお風呂に行きました。
もうすぐ、放送がはじまるとなると、お風呂屋さんの2階は子どもたちでいっぱいです。
みんな、これが目的で銭湯にきているのです。
お風呂に入っている子どもは誰ひとりいません。
ぼくも、はやくから、いい場所をとって待っています。
もう、ぎゅうぎゅうづめです。
「お、はじまる、はじまる!」
テーマソングがながれます。
♪どうこの だあれだか しーらないけれど だーれもが みいんな 知いっている♪
「知っとるわ、祝十郎やがい」
「はーん、なに言うとれん。大瀬康一やがい」
「やかまし!だまっとれ!」
月光仮面がはじまると、もうみんな、いきをころして見ています。
しゃっべってる子はひとりもいません。
白いバイクにのって、月光仮面はでてきます。
ピストルをうちます。
悪者をやっつけて、あっというまに30分がすぎます。
「あー、おもしかったー」
みんな、がやがや2階からおりていきます。
ぼくもこうふんして、おりていきます。
頭のなかは、まだ月光仮面でいっぱいです。
ぼくは、月光仮面になったつもりで、バイクにのっているようにはしります。
へいがきにのって、とびおります。
「バン、バーン!」
指でピストルのマネをしてうちます。
「たっだいまー」
ぼくは、はやてのように、家にあらわれます。
「ふろは?どこ洗てきたんや!」
あ、風呂にはいるのをすっかり忘れていました。
「も一回、行ってくる!」
ぼくは、たたかれる前に、はやてのように家から去っていきました。
「キテレツ工房」ウェブサイトへ