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面白くなければ、見たくない人のために‥ニホチュウ = 石川県小松市、日本の中心で愛をさけぶブログだぞー!


by pontajima
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盗難事件(4) ダンボール箱のなかみは(続)

(まえのつづき)

つぎつぎにダンボール箱はあけられていった。
まるで、正月に買った福袋みたいに
つぎは、なんだろなーと、へんな期待にかわった。

「市居のやろう、いろんなところから‥」
古田課長がはじめて市居さんの名前をくちにした。
だれも、この時点ではおどろきはしない。
ただ、くちにしないだけだったから。
だが、あらためて市居さんの名前がでると
やはりショックだった。

「おまえら、こんな数のダンボール箱みて
不思議やと思わんかったか?」
古田課長が箱をあけながらいった。
「古田さん、少しずつやし、気ぃつかんだ」
なんや、アレじゃないのか、と思いながらいった。

そして、とうとう古田課長はアレをさがしあてた。
「でたあ」
古田課長の、きょうたんの声。
たから探し当たりを見つけたみたいに大よろこび。
「やっぱりあったか」
「いやー、あると思った」
「よかった、よかった」
みんながよってきてうれしそう。
箱のなかからは、女性の下着がどっさり

「どれどれ」
なぜか、ここでいっぷく。
「あんたが下着をもってるとピッタシ」
「いやあ、古田さんぐらい下着ドロがにあう人はいない」
みんなして、古田課長の功労をほめたたえる。
「ばかやろ」
「この、ぱんちいはだな‥」
おっ、下着の解説者まであらわれて‥
とても、盗品検査してるとはおもえないほどにこやか。

「おまえら、こんなに自分のモノぬすまれてて、わからないのが
おかしいと思わないのか」

ふたたび箱をあけながら古田課長はいった。
「いつも、きちっとしてないから盗まれるだわ」
箱のなかみを見ながら説教たれる。
「あれ!」
古田課長の手がとまった。
「なんで、俺の手帳がここに」
「あ、このはさみ、俺のだわ」
「この箱ほとんど俺のばっかし。なんでぇ?」
古田課長おおあわて。

「古田くん!ひとのことは言えんな!」
寺田常務がピシャリと言う。
「だいたい、おまえさんの机の上もきちっとなっていない」
「はぁ‥」

かわいそうに古田課長しょげちゃってぇ。
「みんなにも言っておくのは、盗まれるほうにも責任があってだな‥」
「古田君きいているのか!」
「ぼけーっとしてるからぬすまれるんだわ」

古田課長、箱のなかをじーっとみながら寺田常務におこられていたが、
気でも狂ったのかこの日いちばんの笑顔。
そしてニンマリと寺田常務の顔を見ながら

「じょおうむう。この万年筆、寺田ってかいてあります、うふ」
「な‥」
あれえ。この筆箱にもなぜか寺田。

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by pontajima | 2006-07-15 06:09 | 金さんと愉快な仲間たち